マツバ/山中 烏流
石畳
わたくしの爪先は
ようようと白く
染まり、
その足音は
薄暗い灰色の中
に、溶けて
いくのです
短くなった、指が
弾き出す旋律は
やはり
赤や黄をまといながら
歌を、歌を
高らかに
奏で
つまびやかに
煌めきを讃える
その
枯れ落ちた音
一つ一つの
断片を、
わたくしは毛先で
受け取り
また、返しても
いくのです
ほっそりと
心許なく伸びる
たくさんの
腕は、
その端々を担い
小さな爪痕を
わたくしの
瞳
へと
水鏡
そうして
爪先がたてる
呼吸にも似た、
波紋の
頭上に降る
松葉は
わたくしの、目前を
ゆうらりと
たゆたうのです
瞬いた刹那
その、儚さごと
粉々になる
今
わたくしの、
目前を
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