『真昼の星』/東雲 李葉
持っていても忘れ去られる彼のこと。
その彼が君に青を届けたいと言う。
僕を経由で届いても決して名前を聞いちゃだめだよ。
真昼の空を仰ぐ。星はどこにもないから、
天地が入れ替わってもだれも気付かないんじゃないか。
それこそ母なる海に眠ることができたなら、
それは本望じゃないか。ねぇ、どう思う?
君には届いているのかな。雲一つない青の詩。
渇ききった喉が満ちたらそっと、空に指を浸してみて。
もしも真昼の星を見つけたときには、
小さな小さな彼のことをそっと君だけに教えてあげる。
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