熟れる頃 きみが泣く/アオゾラ誤爆
 
橙のかげ
古い写真みたいにかすむ

あの煙突からたちのぼる
霧のような灰が眩しい
太陽はしずみかけで
手のひらの大きさの池に浮かんでいる

死んでみたいとくちにした
動脈血のながれるくちびる
冬の空気にさらされて
あかい
赤くてあかくて落ちてしまいそうに
熟れている

あわく黄みがかる遠くの雲が
工場の屋根に隠れた
雪がふるかもしれないと思った

いつもよりおおきな声で
囁いてみるように
爆弾に触るように
とりはだが立つのを待たない

だってほら掴んでしまえるよ
時間なんて気にしてないで
きせつにならどうせ追いつけない
冷たい羽根ならぼくらには生えない

触れ合ったその場所から
腐っていくから気をつけろよ


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