この冬の歩き方/雨宮 之人
 
空気は凍えて
呼吸がなんとなく苦しくなる
聞こえるかな
肋骨の内側をこする音

人は温もりを求めてるみたいだね
一人でいることに震えていて怯えていて
でも冬に生まれた僕はそれを知っていて
だからあなたを温めることができるんだ

日本語って難しいな
使いこなせる気はいつまで経ってもしないだろうな
でも大好きなんだ
この時代は大嫌いだけど

まだ空が泣いている
どこか遠くで少女が流した涙に
星条旗は何回謝ればすむだろうか?
英語なんてわからない人たちに届くように

僕は限界に気付いているんだ
だけどその向こうから呼んでいる声が聞こえる
アンリミテッドな夢を見ようって

だって立ち位置だけが異常に厄介で
でも首の皮一枚で繋がっているみたいなんだ
仕方ないからこうして告げるのさ
こんな僕に
他に何ができるっていうんだろう
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