たまご/
水町綜助
たまご
雨の日に
雲の、目をみはる
ながれの速さに
あかされる
ミルクの皮膜を
くすりゆびに
掛けて
あたたかいのは
どうして
どのように
熱せられたのか
たどれば
鉛筆のさきで
殻を割って
覗く
「悠久、」とか
呟きたくなる
見渡すかぎり
穂波
なんて風
冬へと
冬へとさしかかる
線上に架けられた
匂い
鼻の奥が
つめたい
という
お誂え向きな
吹きかたです
金糸の
ざわざわと
目に痛い
胸騒ぎの
あ、
と
お。
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