水色のそら/千波 一也
 

水色のそらを眺めていると
水ではないのに水であるような
或いは逆でも済むような
忘れものの気楽さを
ひとつふたつと
思い出す


 降るものは
 雨なのだろうか

 不思議そのものが
 降っているようにも見える
 わたしはときどき


 思うがままに泳いだあとは
 風をもとめるわたしであるから
 引き潮ばかりを語ってしまう

 満たすことばに
 満たされもせず
 ふりをしてしまう
 わたし、違うのに


漂うもののあれこれは
すくわれることを
待つのだろうね

とかく気高い魚(うお)ならば
上手な距離をのぞむのだろうね


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