豊かさの中で/ぽえむ君
 
豊かさの中で
ぼくたちは泣いている

ほしいと思ったものが
いつでも手に入るから
いつでも捨ててしまう

持つべきものがなくとも
誰かが持ってきてくれる

便利さだけでは
豊かにならないことを
誰もがわかっているのに
それを幸福だと感じなければならない
そんな押し付けに
ぼくたちは泣いている

こんなに豊かなのに
本当の自分のものはと聞かれたら
もしかしたら
一つもないのかもしれない
そもそも
自分というものがあるのかどうかさえ
わからない

豊かさの中で
ぼくたちはいつも貧しくて
何かに飢えながら
そして泣いている
ぼくたちは笑いたいだけなのだ

自分らしい笑顔のない豊かさの中で
ぼくたちは泣いている
戻る   Point(18)