十一月/楢山孝介
 
虫となる

寒さ来る何か想うと眠くなる

木枯らしや内ポケットに古い飴

黄葉に昂ぶる身内どこか立つ

コート着ると暑い

頭痛舌痛先夜の暖で身が弛む

八本の手足動かす四人組

指し示す昨日の虹はあのあたり

悪気なく木の葉の鬼を踏み潰す

懐かしや木の葉の裏に知った顔

大気澄む遠くのものが恐ろしき

大気澄む遠くの山の葉が落ちる

雲動く全ては常に過渡期なり



 「衛星『かぐや』から送られてきた月の映像を見て『劇場版ターンエーガンダム(地球光・月光蝶)』を思い出す」


月に降る消失前夜の地球光

海に降り鯨を肥やす月光蝶
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