彼は別れ、変われる。/木屋 亞万
僕はロボット。少しでも君の人生が豊かになればと未来から送り込まれた、ロボット。君が大人になるまでという約束だったから。僕はもう君の前から消えなければならない。君のためならヒマラヤに咲く青い花を摘んでくることも、月の石を採ってきて君の彫刻を彫る事だってできるよ。もし壊れても修理が出来るし、治らなくても変わりはいくらでもいる。メモリは爆弾も光線も効かないからね、それを取り替えれば良いだけさ。でも僕は壊れることなく仕事ができて、君に別れの言葉を告げようとしているんだ。
サヨナラ。それは別れの言葉だと、僕の中には組み込まれている。でも、足りない。太陽の火が消えるくらい大きな声で叫んでも、サヨナラだけ
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