冬のあと/水町綜助
 
 古い油紙に
 絵を描いては
 町をふらつくから
 落として
 何度も
 太陽のもとで

 水たまりに
 浮かぶそれを拾って
 濡れた絵は
 ぼやけてしまうので
 また
 晴天に干す

 ひら
 ひらと

 わらってしまうほど
 幼稚な
 毎日が
 斜めに
 切り取られ
 日々として
 強く
 焼き付けられた
 写真のようで

 ネガはもう
 いわゆる真夏の中で
 引き出したから
 感光したよ」


 昔から
 行ってみたい場所がある
 それは丘の上でもあり
 海原の中でもあり
 静止してしまいそうなほど
 硬質につよく
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