grape/水町綜助
人波が隙っ歯に駅のホームを行く
あらためて見れば鉄箱に
みんな乗り込んで葡萄の房のような
それくらいの密度で
つぶれて貨物列車だ
果汁に似せた
澱のような
きらめいた
それぞれの
「たとえば飼い猫が、家出をしてしまったような、きもちの」
毎日が
車両の床に溜まる
新しい電車に乗り込む革鞄
四両目に座り
もう飽き飽き
♪ ピン ポン
ドアの閉まる予告音に
無感動
そりゃあ
そのように
のったのだから
ピンポン
乗り継ぎ駅の朝
駆け足に
そうだな
この季節なら
白い息
さまざまな肌の色
たとえ島の中に生きていて
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