午前四時はいつも偽物/たりぽん(大理 奔)
 
反射望遠鏡を捨てよう
届かないものを
手に入れたと
思いこむのはもう

   自分の影が見えるだろう
   背を向ければ
   道はそこにあり
   わたしにはまぶしすぎるのだ

そうして、だから
まず暗闇に身を置いて
ぼんやりとしたものを
あしもとに見るだろう

それは届かないものが
与えた輪郭

   写真機を捨てよう
   憶えていないものまで
   焼き付けることで
   思い出を捨てることは

綺麗でもなく、正しくもない
強くもなく、儚くもない
           指先に残る、小さな体温

言葉も捨てよう、届かないなら
手のひらに包み込む指先の
それが言葉ですらないのなら




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