鼓動みくまく/木葉 揺
あの頃の十一歳は、生理で休むなんて言えな
くて、シャワー待ちのマーメイドギャングを
蛇口ひねって一網打尽。がっさがっさとふる
いにかけて出てきたコだけが五年後も信用で
きる。
そんな気持ちで巫女さんが差し出す木筒を揺
すっているのだけど、穴と棒の相性の悪さに
「凶でもいいから」と汗ばんで振り回す。出
てきた大吉に疑いを持つなんて、感性の一つ
が消えていくはずだ。でもまだわずかに近く
に浮遊している気がして、蚊をやっつける感
覚でむやみに宙をつかむ。何度もつかむ。そ
のダンスが認められて代役が決まった。
台本も打ち合わせもなく舞台へ蹴り出され、
暗闇に浮かび上がる
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