助産婦が、間違えて/狩心
 
なパワーショベルの横を、髪の長い人魚達が歌を歌いながら舞い落ちる
部屋の四隅に一つずつ、別々の形をした太陽が掲げられ
それらはまるで、水中都市を監視する裁判官の魚眼レンズだった
窓がバタンと閉まり、真っ赤な舌が伸びてくる
妊婦の脈拍を測った後、舌は体を包み込み
走り抜ける明日を、消化した

ズズズという音
大腸を駆け巡る軍隊の足音
指揮官は死んでおり、兵隊達は無目的に、そして無差別に、強姦を繰り返した
水面は震度を増して、二枚目の地面を越えて行き
酸素と結合しながら、空という空を全て削減しようと試みる
天井裏にいるネズミ達が恐れをなして、引越しの準備を始める

人の気配が無くなってから、部屋の四隅に蜘蛛の巣が張り始める
裁判官の魚眼レンズは曇り、裁決の日を、混沌の悪魔に明け渡した
何万年も時を経たのに、シャボン玉は割れる気配が無い
時間の壁が迫ってくる
部屋は縮小し、凝結する
一つの点に、なる為に

戻る   Point(1)