注文の多いレストラン/白川水
(霧が立ちこめたように暗い心の底流に横たわって…)
おい、このデザートの中には雑音が混じってる
おい、あの庭園の奧には悪魔が潜んでる
でも、耳に聴こえるのは楽しそうな「誰か」達の笑い声…
そして蝋燭には明るい光が灯される
(僕はまた少しずつ自分が解らなくなる…)
ねえ御願い、この不快感をナプキンで拭って
ねえその古い映画のような音楽を消して下さい
誰かの心地よい想い出に脚まで浸かるような
味のない幸せを再現しないで下さい
僕はまた、怖くなって自分のポケットの中に帰りたくなるから
戻る 編 削 Point(1)