注文の多いレストラン/白川水
 
(霧が立ちこめたように暗い心の底流に横たわって…)






おい、このデザートの中には雑音が混じってる

おい、あの庭園の奧には悪魔が潜んでる


でも、耳に聴こえるのは楽しそうな「誰か」達の笑い声…

そして蝋燭には明るい光が灯される

(僕はまた少しずつ自分が解らなくなる…)


ねえ御願い、この不快感をナプキンで拭って

ねえその古い映画のような音楽を消して下さい


誰かの心地よい想い出に脚まで浸かるような

味のない幸せを再現しないで下さい

僕はまた、怖くなって自分のポケットの中に帰りたくなるから
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