火の気持ち/石川和広
 
全身が
あの世へ行きたがっていた

いつものことなので
ただ床に寝ころんでいた

さすがに涙も出るが
しょうがないなとおもった

昼から夕暮れそして夜へと
寝ころびつづけた

部屋がくらくなった
たばこが見つからず
しょうがなく電気をつけた

キャビンのめんそーる
新しいやつ
箱の緑が
ふかく
まぶしい

火をつけた

窓辺の
遠い夜空
赤い透明な花びんのくちさきに

蝿が
おひとり
留まっていた

テレビ
やきゅうつけた
すぐ
消した

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