World's End Scratch Wound./やまぐちふぢ子
その痕は
痛いほど澄みきった
マイナス42℃の夏空を覆う豪雨のよう
歪みきり揺れては
捻れ滲んだピンク色の粒子
に
埋め尽く
された聴覚は光化学スモッグで視るアリゲーターの白昼夢
わざと暈したフォーカスの前
で
おろした瞼の裏側の
視覚の帳は綿菓子製のタぺストリー
その跡は
規格外の恍惚
と偽りの優しさ
もしくは合成甘味料と
赤色1号
に
掻き消されたロマン派の夢
なりやまない胸騒ぎは
永遠に続くドラムロールと
ファンファーレ。
ねぇ、
愛はなくても。
こんなにも美しい世界は回る こんなにも素晴らしい世界は回る。
ね ぇ、
たりない愛なら、
そのあとに、引っ掻き傷で塗りつぶ す。
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