わけ/見崎 光
 

冬の雨は柔らかい
ということを知っていますか


大気が冷たいからこそ
温かな雫を紡いで
春を想わせているのです



冬の雨が静かに降りるわけを
知っていますか


雪が瞳を施すならば
雨は耳を潤して
春の囀りを待たせているのです



冬の雨に流れる寂しさ
を摘んでいる音
気付いていますか
知って、いますか


窓を叩くほど激しくもなく
忘れ去られるほど弱くもない
心地よさに揺られて眠るよう
春を取り繕っているのです



冬の雨は雪に紛れて
寄り添いを果たしているのです






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