zets/go/渡邉建志
 
のものではなく、誰かから借りてきたもの、と今までなんとなく思っていたような気がする。私なんかに貸してもらってよかったのだろうかと思う。借りたからにはなにか立派なものにしてあげたいとは思うけれども、どのように立派にしようかということは依頼がないので思いつかない。恋人がいる。借りてきた人のように思う。私は責任が取れない。何にも取れないよ、と思う。私が本当に私のものにならなければ、何にも責任なんて取れるはずがないと思う。

まず私を私のものと認識しなくてはならないと思う。私は神様のものではない。私は世間のものでもない。私は宇宙でたった一人ぼっちで、世界は荒廃していて、ひとりだけ生き残って何をしよう、
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