半生記拾遺/吉岡孝次
なにか重大なことが起こっているという感じを
常に持ち続けていることはできない。
ひとたび心の向きを表へと変えてしまえば
あり得た過失
深く刺さった数々の思い出に
身を
さらす危険もそれだけ少なくなると言ってよいのだ。
隠せぬ「時」への偏愛 ──
その一つ一つを取り上げられても生きてゆける。
19の頃から23才に至るまでのわずかな期間。
「苦しめられる」と胸に叩き込んだ。
眠り/目覚め
そして
「ひとは」などど口にするように自らを追いやり
試みに涙を流してみたりするようになるのだろう、
きっと。
格調などがあったためしはない、
薄暗い
僕の人生には。
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