あえて名前をつけるとしたら/中町あきら
滑走路を飛び出した
機体は青い眩しい空に溶けそうに
ぐんぐん速度を増す
このままいくと、そう時間もかからず
あの場所に着くことができるだろう
しばらくして
勢いがつきすぎた機体は
進路を正確にとれず燃料も尽きて
泥沼に不時着した
目的地とは大幅に方向がずれてしまったが
幸いなことに命だけは助かった
数十センチジャンプすることすら
ままならない泥沼だが
良くも悪くも地面に足をつけている
よし 足をとられながらも
生きていけるのだな
私はこのことを「幸せ」だと深く感じた
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