泪雨/愛心
 



テレビのアナウンサーが

近所で

飛ばされそうになりながら

中継をするようになった


そして


台風が


やって来た



もうすぐ

僕の家の真上を通る





雲の子どもが

危ない



「おぉーい逃げろぉ」

反応しない

「台風だぞ」

答えない

「巻き込まれるぞ」

返事なし




一瞬の突風




気付くと

空は青くて

雲の子どもは

いなくなっていた



部屋に戻って

テレビをつける

僕の住む場所から

遠く離れた場所に

台風は移動していた






たった数か月

住み着いていた

邪魔だった



家賃のかわりに

僕の居場所を守って

そして

消えた





馬鹿な





くも の こども






外に飛び出した



あぁ



天気雨だ



顔中しょっぱい



雨に降られた





優しく接せなくて

ごめんな
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