鏡の中の現実/
 
僕と君とはよく似ている
多角光に分けられた 
花のように咲く
いくつもの君

ショーウィンドウのマネキンを追い抜いて
洋品店のか細いミラーを横切って
カフェガラスの水面を渡ってゆく
唇はコーヒーに浮かぶ

無数に映る君の姿は本物で
だけど 僕はまだ幻か

臓物シチューみたいに
足元からコトコト揺られてさ
三角形の吊り輪を握り締めたのに
それはまるで家みたいな形の
妙に優しい五角形で


朝を迎えたら ベルトコンベアの上で まどろんだ臓物たちに慰められながら
僕は三角形みたいな五角形を強く握り締めている


その時 君は そこから見える僕の姿を肯定してくれるかい?

ねぇ ミラーマン




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