みちのきみ/智哉
楽しそうに微笑むね
嬉しそうに笑うね
優しい顔で悩むんだね
キレイな顔で泣くんだね
丁寧にカレーを食べるんだね
熱くなさそうにコーヒーを飲むんだね
先週挑戦して失敗したカルボナーラ作りの話をいきいきとするんだね
明日の天気をまるで占いを見るかのように
ハラハラした表情で調べているんだね
その表情は僕の前だから?その仕草は僕の前でだけ?
僕は何も知らない。
僕は何も知らないんだ。
どんな風にキスをして
どんな風に目をとじて
どんな風に声を出すの?
どんな風に怒ったり、拗ねたり、わがままを言ったり、嫉妬したり、歯磨きをしたり、料理を作ったり、髪を乾かすのか
僕には知る術がない。
ただ一つだけ確実に知ってしまっていること。
僕の前のキミも僕の前にいないキミも
全てあの人のもの。
何度見直しても素敵なキミは、
紛れもない、ぼくの上司の奥さん。
戻る 編 削 Point(2)