寝台列車のうた/ふたば
お魚畑を横切って
青い列車が突っ走る
火花がカーブで散るたびに
魚が闇夜に飛ばされる
枕木たちの音階を
青い列車が突っ走る
エレクトリックギターの弦の
レールが唸りをあげていく
乗客たちが眠りにつく
ベッドが軋み狂っていても
それが彼らの言葉だという
彼らはそれを静寂と呼ぶ
厚い静寂のカーテンが
窓のない壁を埋めている
天井が星空に見えたなら
外側からだけ照らされる窓
車掌がガラス棒みたいな
煙草の先に火をつけて
僕もようやく眠れるよ
胸の切符も冷ましておこう
誰でも列車に乗り込んで
ただ一言を伝えに行く
隣の国からやって来た
カモメみたいな顔をして
お魚畑を横切って
青い列車が突っ走る
火花がカーブで散るたびに
車体が闇夜に透き通る
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