ドリームランド/イツリ
群青色の空に吊るされた
手書きの星
てっぺんのないお城をバックに
月に照らされた白いステージのもと
彼らは少年少女になる
木陰からはどうぶつ達が実に歓迎的に顔を覗かせている
その笑顔はどう見ても口角が上がり過ぎているが
皆同じ顔をしているのだから
それが当たり前のようにさえ思えてくる
彼らはそれらに、その笑顔に、手の平で転がしてもらう
あくまで転がしてもらうのだ
主人の前で尻尾を振りながら仰向けに寝転がる犬のように
喜んで転がしてもらう
ここには彼らを喜ばせてくれる大人しかいない
ここでは魔女だって海賊だっていい大人だ
いかついメガネをかけた少年が
連れの少女と一緒に
広場でくるくる廻っている
少女の踊りもなかなかのものだが
彼は非常に上手く踊れている
踊らされている
偽物のお城の鐘が20時を告げれば
今度は本物の電車のベルが鳴り
彼らは来た時より広くなっているゲートをくぐって
引き伸ばされながら日常に戻っていく
フワフワ体が浮く中で
無理に地に足を付けながら
先程の踊りの振り付けを
刻一刻と忘れながら
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