「二重の夢」/菊尾
 
明日きっとこの時間に思い出す
描写するなんてとても簡単なこと
次から次へ浮かんで消えない情景は重なりあって
何枚でも頭の中で現像されていく
三拍子のあの曲を君が口で真似てみせた
それは僕も好きな曲だった

公園の木馬が揺れる
シーソーの傾きが夕暮れを隠した
子供に戻れるのは子供を知っているから
ジャングルジムの骨格の中
空間を幾つもまたいでいるような感覚

毛布をかぶって身体をまるめて
秘密の話をしながら眠ったら
夢の世界で再び夢を見た
二重の夢
外殻を割って潜りこんでしまった
穴から内側の夢が洩れだして行く
そういう夢なのか
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