十一月/チグトセ
 
みたほうがいいのかもしれないなあ
そこにはふいごで風を送り込まれたように、ただ
乾ききった皮肉めいた炎が充満するばかりである


コンビニのチカチカした明かりが近づいてきた
夜光らしかった
店員が店前のゴミを拾っていた
ゴミを散らかした人がいたんだろう
店の中では
古い女性シンガーが甘ったるい声で
女の子のこえをうたっていた
明るい人気のないコンビニが
ライブハウスみたいだった
それがどうしようもなく、効いてしまった

忘れても
忘れても足りない
忘れようとして実は思い出している
こんな記憶まで引っ張り出してきて
僕には言葉すらなくなってしまうというのか


たるん


たるん


曇った夜空をホバリングする煙

メッセージ


言葉は
物語にも詩にもなれずに積もっていく
口に出して云うには、とうてい
もっと及びもしない
臆病な言葉たちだ




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