ジッポ売りの淑女/マッドビースト
ウマになってしまった
僕らは多感な昭和生まれだ
風が吹いても消えないジッポ
何年昔の売り文句だかしらないが
消えない夢を見てるから
なんてぜったい口にはしないけど
暇になると悪びれもなく売り物の火を着けたり消したり
いつもハッピーエンドが条件
罪悪感に殺されちゃいけない
退屈に飼いならされちゃいけない
最近売れ行きが良くないと他人事のように言っている
みんな夢の消え入るのを待ってるんだと 言い合っては笑う
僕らは皮肉な昭和生まれだ
朝の光が構内に差し込むと
うざったそうに目を細めて帰っていく
太陽の光を懐かしそうに眺めるようになったらおわり
が いつも捨て台詞
まるでバンパイア
見終わって死んでしまうくらいなら
ベッドで見る夢の方がいい と
合理主義者の君の哲学はいつも正しい
カチーンカチーン
また売り物の澄んだ音を構内に響かせて去っていく
ジッポ売りのレディ
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