ジッポ売りの淑女/マッドビースト
 

 雨をよけて駅の構内で
 ジッポを売る君

 駅構内でのセールスはいけないけど
 雨に濡れてひもじそうにしていては
 誰も買ってはくれない と
 合理主義者の君の哲学はいつも正しい
 
 お兄さん3000円ぽっきりだよ
 と キャバクラではないんだが
 マッチじゃないから安くもなくて
 ジッポだからしょうがないんだけど 
 勘違いして目もあわせず行き過ぎる男達を見送る顔は
 実はそれほど困ってはいない

 マッチを売らないのは実入りがわるいからじゃないし
 エコロジーのためでもないそうだ
 聞かなくても理由はなんとなくわかる
 悲しい童話の結末は軽いトラウマ
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