「チョコレート」/菊尾
 

子供色に笑う
頭の後ろ側で鳴るのは海
煙草の似合う指先
済ませたのは過去の清算
這うような空

呟いてばかりの二人
静かな場所が好き
観覧車の窓を君が曇らせる
またと無い時間
窓に書いた言葉が消える前に
くちづけをした

掬い上げたら指の隙間を流れ落ちてしまう
溶け込んで満たす深い液体
残すことなく全部君に注ぐから
もう少しそばに居て


伸びた爪で髪を梳くクセ
組み替える脚
多分少ないぐらいがちょうどいい
濃度は薄めで掠る程度で
求める理由はそうやって生まれて行くから

チョコレートが溶け切る前
幾つ僕らは思い出せるだろう
これからの中で体温は何度も触れ合いながら
心は螺旋状に縺れて行くのでしょう

甘い味
黒い舌と厚い口唇
君のチョコレートは
僕の口の中

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