あたしの掃除機/
万里
走りました。
自宅について
原付を降りると
そこには大好きで大嫌いな君がいました。
泣きたいような、
喜びたいような
ないまぜな気分になったあたしは
思わず空を見上げました。
もうそこには
あたしの掃除機なんてあるわけもなく
あなたの車が
視界の端っこにうつりました。
あたしの掃除機、
どうかあたしを吸い取って、
と、消え入りそうな声でつぶやいたあたしに
君はただまっすぐな視線をよこすだけでした。
空はもう、どんよりと灰色でした。
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