あたしの掃除機/万里
仕事帰り、
原付に乗ったまま見上げた空に
ぽっかり水色がみえました。
きれいにまんまるく
くりぬかれた雲ははまるで、
あたしを吸い込もうとしている掃除機のホースみたいでした。
どうか吸い込んでよ、
と思わずつぶやきそうになりましたが
信号は図ったようなタイミングで
青いランプを点灯させました。
仕方なく、
ため息でもつこうと思いましたが
せっかちな後ろのミニバンに
クラクションを鳴らされました。
あたしはあわてるふりをしながら
アクセルを開く羽目になりました。
きっとだんだん遠くなっているだろう
あたしの掃除機を想い
あたしは道路をひた走り
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