ひりひりバス停/hope
新しい朝まで、きっと、あと、もう、すこし。
(やっぱり海はみえないや)
後ろの奥から呼吸のように繰り返す波の音は、まだ、ただ、暗闇の奥。
「ここなら海からの風も怖くないよ」
だから怖くないの。
帰り道の途中、真っ赤な赤色で、クリーム色のラインが2本ある、バスを待っている途中の、海沿いの、バス停の、ベンチの上。
あさいちばんの運転手さんの、ねむたげに瞬く瞼を通り越すくらいに、大きく手を振って、ちゃんと停めるの。そのバスを、ここに、ね。
優しい場所はどこにいても見つけられるの。
あなたが触れた、てのひら、を、暗闇が照らしてるの。
ひりひり、
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