白い夏/前田ふむふむ
は、ふたたび、閉じられて、
立ち上がる白い肖像たちに震えている。
鼓動が、高鳴り、なつかしさで充たした死者の声を、
寄せ集めてきて、見慣れたあわい岸をつくる。
ささやかな孤独な落ち着きが、幸福であると、
地球儀を傍観するように、
わたしは追想する。
昼が、わたしの凭れる白い壁に、慣れてくる頃、
刺すような若い声に店は、溢れかえる。
赤面して孤立した手で、わたしは耳を覆うと、
62万の落葉が漂う運河、
花を咲かせなかった落葉の群の流れる音が聴こえてくる。
仄かに浮んでいるニート救済政策案は、
地響きを上げて、白い夏のひかりを浴びて、
製薬会社の管理した病棟
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