距離をさようならにかえない。/哀詩
 
 

(もしこの声がきこえたのならば、
 少し耳をかたむけてください
  夕焼が目ににじみはじめたから
   こちらは見ないで、そのままで。)


あなたはいつでもあたたかかった。
笑っているときは勿論、ないているときも何故だか。
あなたはいつでもあたたかくて、
あたしのつめたい指先を抱いて、ほほえみました。

余談ですが、最近はいっとう寒くなりはじめ、
吐息が濁り、生命のおとはちいさくなりはじめたのに
あなたには聞こえないのでしょうか
見えませんか、感じませんか
この指先はあたたまることを知らず、ただただかじかんで、
きっと明日ごろには ぽろり、 と
表面の
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