距離をさようならにかえない。/哀詩
(もしこの声がきこえたのならば、
少し耳をかたむけてください
夕焼が目ににじみはじめたから
こちらは見ないで、そのままで。)
あなたはいつでもあたたかかった。
笑っているときは勿論、ないているときも何故だか。
あなたはいつでもあたたかくて、
あたしのつめたい指先を抱いて、ほほえみました。
余談ですが、最近はいっとう寒くなりはじめ、
吐息が濁り、生命のおとはちいさくなりはじめたのに
あなたには聞こえないのでしょうか
見えませんか、感じませんか
この指先はあたたまることを知らず、ただただかじかんで、
きっと明日ごろには ぽろり、 と
表面の
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)