無知/水中原動機
 
僕は何も知りませんと言ってみる
何も見なかったから
何も聞かなかったから
何も知りたくなかったから知らない

僕は何でも知っていると言ってみる
見たいと思っていたものだったから
耳をそばだてて聞いてみたら
何か知ってる気になって満足

そしたら君はこう言うんだ
知ったかぶりしてるんだ
知った気になってるんだ
知らないことに気づかないんだって

そうだな君の言う通りだ
僕は何も知らない
空の青さも海の深さも
君のほっぺの柔らかさも

いつも見てるのに
少しの勇気でいいのに
手を伸ばせば届く距離なのに
いつだってそこにあるのに

僕は何も知りませんと言ってみる
君が気づかないくらいの
敬意と好意を含ませて
ああ、ちゃんと気づくように言った方がいいかな
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