月下/しゅう
十四歳で月光になってしまった
あどけない少女は、くちのまわりを群青まみれにして
細長くのびる、雲の向こうへ消えた
高架下には、濃紺のスカートが脱ぎ捨てられていた
河川敷には白い靴下が、くるぶしまでしかなかった
曖昧な白さで、窓に飾られている、青空がゆれた
彼女が飛び立った日、ぽけっとには保健室の鍵しか残らなかった
ときどきに、彼女の足跡を見つけると
廊下の冷たさを思い出す
真夜中の真冬の孤独な鈍重な猥雑とした真昼が平然と貫通し私を一顧だにしない、狭く高い谷の狭間を向こう岸まで渡らなければ夜には到達せず、打ち捨てられた星々のミイラとここで眠りにつくのだろうか、直線を積み上げ
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