恋に問う/umineko
恋がまだ私に生きていたころ
私は
夏の校舎を一周する
鼓笛隊のパレードだった
恋がまだ私に生きていたころ
私は
夕暮れを味方につけた
見えない星だった
恋がまだ私に生きていたころ
私は
ことばを放つ大空の
無限の青だった
恋がまだ私に生きていたころ
私は
だが気づかなかった
恋は
やがて年老いて
いつしか病いに伏すもの、と
世界中の祈祷師を頼み
あらん限りの秘薬を乞うも
私は
恋を救えない
恋よ
私の両手の中で
息絶えてゆくいとしきものよ
消える前
私は問いたい
私に
生きゆく意味はあるか、
と
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