なんでもない一週間/小原あき
った
よろよろと立ち上がると
腐ったような臭いは
自分が放っていることに気が付いた
しかし、どうしようもなくて歩いていたら
すれ違った人がわたしを見て驚いていた
次の瞬間、その人の目からは涙が溢れ出し
わたしは抱き締められていた
この人の妻であることを思い出していた
帰る道は不思議と知っていた
迷うことなく着いた家で
すぐに温かいお風呂に入る
夫は何もかもわかった顔をして
そっと抱き締めてくれた
ふわふわのベッドに横になったら
主婦になりたかった
日曜日
夫はどこへも行かず
わたしもどこへも行かなかった
二人向き合って
笑い合った
そんなことで
寒かったのが
あったかくなるなら
一週間、わたしは笑い続けてやろう
あったかな木に寄りかかったら
もう、何にでもなりたかった
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