道化ごっこ/氷吐
 
届かぬと 知りて歌うも 痴れた事 取るに足らぬを 嘆けど虚し

罪と罰 好きの埋むるを 月もせず 頬の温けさ 指に残れり

綱渡る 道化持ちたる 傘ならば 雨の降る震 君の笑うか

君が為 眼暗む夜なれど 灯火は 泣くとも歩く 何ぞ絶えれど

飴ぞ濡れ 首締め救う 君に唯 膿の果つるは 泡の行方に

時雨れども 明けには乾く 袖の露 遠つ人より 借りし咎なら

亡き名なら 成らぬ名残は 縄を綯う 舐めし渚に 嘆くな波よ
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