「ベランダと猫」/ソティロ
髪をうごかす
アスファルトの熱せられたにおい
に汚れた川の微かなにおい
それから濃い緑が混ざる
そして日光が肌を焼く
じりじり、と
太陽、
それがそこに空(くう)を生み出していた
猫はもう諦めて向こうへ行ってしまっていた
その鮮やかな画(え)と熱の中で
ただ太陽だけは消えそうになかった
見上げるとやはりしろく放射線をつくっている
長く見ることも出来ない
そこで
彼は自分がもうすぐ死ぬことを知った
彼は今、猫とは別れて北向きの部屋で寝起きして暮らしている
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