「ベランダと猫」/ソティロ
 
ベランダと猫



ある事情のために
彼は夏の終わりの
しばらくの間
川の近くにある
見晴らしの悪い
アパートで
猫と暮らした


そのアパートの中で
生活、という
よくわからないものを
一通りこなした


猫に餌も忘れず与えた


以前から
彼は不思議に思っていた
並木道を歩いてゆく親子、
左右にいる両親と両手を繋ぐ子供
その様子を見て
泣きたくなることがある


失われるものを儚んでいたのだろう
瞬間は常に奪われていく
子供は大きくなって、
大きく見開いていた瞳を
見たくないもののために
いつか閉じたりもするだろう
家族は
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