朝、富士そば、スマトラカレー/平
ゃがいもとパン粉の流動物に麺を絡めてすすりあげる。
とてもおいしい。
とてもかなしい。
昼、仕事を終え、
神保町のカレー屋で昼食を取る。
焦げた褐色のルーを大盛りにしたチキンカレー。
肉の繊維は既に糸状にほぐれ、
粒の立った米と絡めてほおばれば、
間違いのない至福を与えてくれる。
とてもおいしい。
とてもかなしい。
残酷な朝の光。
その残影に促されて、多分人は一日を生き、飯を食う。
その孤食がおいしい分だけ、
かなしみはほぐれた肉のように、とろけたじゃがいものように、
日々の更新を告げる毎朝に浸透していくのだ。
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