朝、富士そば、スマトラカレー/
 
ゃがいもとパン粉の流動物に麺を絡めてすすりあげる。

とてもおいしい。
とてもかなしい。

昼、仕事を終え、
神保町のカレー屋で昼食を取る。
焦げた褐色のルーを大盛りにしたチキンカレー。
肉の繊維は既に糸状にほぐれ、
粒の立った米と絡めてほおばれば、
間違いのない至福を与えてくれる。

とてもおいしい。
とてもかなしい。

残酷な朝の光。
その残影に促されて、多分人は一日を生き、飯を食う。

その孤食がおいしい分だけ、
かなしみはほぐれた肉のように、とろけたじゃがいものように、
日々の更新を告げる毎朝に浸透していくのだ。


戻る   Point(2)