かえる/こしごえ
 
石にかえります

おもいでを葬った小さな霊園で
しろい花を一輪、手折りました
そのゆびさきが白く空を切るバランスで
階調を(一羽)輪舞しながら
ふ きだされた無声音が
(石の光沢する)音階を
のぼってゆく
青ざめつつも すこしも震えずに
一段、一段 沈黙していく
静寂へとなり 果てていき
うつろな空が、おだやかに微笑している
青みがかった鈍色の中の
う、しろで
無数に扉のしまる音……を聴いた
とたん。空が晴れて
私の後ろ姿が、消えました

またひとり
しゃらしゃらときらめく
星星の無限花序で
ほうき星が流れてひとすじ
小さく「 ぁ 」と鳴くのです








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