夏災報知器/A道化
泡立たず
飛散した
夏の光の下
沸騰前のアスファルト
その沈黙、の蒸れ上がり
その、陽炎
提げた虫籠の中
音から立つ
蝉の
匂い
それを
汗を分泌して拒みながら
佇む体を
取り巻く夏
千切れ、飛ぶ
その流動に
おいてゆかれるものが、ある
おいてゆくものが、ある
虫籠の中、だけ
夏を濃くしてしまった罪と詰め込みすぎた夏の質量に耐え兼ねて
俯き溢れそうな眼圧には虫籠の忘れ場所としてアスファルトしか
アスファルトしか、見当たらなくて
置いてゆかれるものがある置いてゆくものがある、ありすぎて
置いてゆかれも置いてゆきもし
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