海の彼を、泳ぐ/山中 烏流
(彼の手によってもたらされる気持ちの悪さは、少なからず私の子宮辺りで産声を上げていた。
それらは私が芯から疼く度に鼓動を募らせるのだが、しかし、その心臓である彼の脳髄には私についての全てが記録されていない。
今、彼の罪を受け止める私は、そういった経緯に於いてすべからくミユキなのである。)
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紅を引くように/柔らかく
指を這わすことを
彼の口は
魚だ、と言って
零れ落ちる様々を
鱗に変えて、しまった
途端
したたかに伸びている
私の両の脚は
揺らめく尾びれへと
退化を認め
呼吸の片鱗は
瞬く間に
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