空/アンテ
もとに戻れずに尻餅をつく
なにかが顔に当たる
黄色
がやる気なさそうに
浮かんでいる
古いお城
なのだそうだ
物語がはじまると
役者がたくさんやってきて
さんざん大騒ぎして
終わったとたん
ひっそり静まり返る
そんなお城
手を伸ばす
触れた瞬間
風船が割れる
ゴムの欠片が飛び散る
小さな紙が中からこぼれ落ちて
手のひらに着地する
見慣れた筆跡
あたしの大切なものが
あと10秒で
消滅します
かちっ
スイッチが入る音がして
数字が減っていく
風が
違う
なんだろう
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紙を握りしめて
身を起こす
鉄棒にもたれかかって
空を見上げる
雲が
ゆっくりと流れている
連詩 観覧車
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