捨てられないもの/砂木
をしていると
静けさと共に
こんこんと陽が葉の間に射す
急に視界が明るくなり
晴れ間だと気づく
諦めていたものがあらわれたようで
背中まで青空に入ったような
嬉しさに唇もなごむが
お天道様は見捨てないなどと喜んでいると
また雲は灰色を濃くして
容赦なく雨粒が 合羽の上からバラバラと叩く
それでも 晴れてくれた一瞬に
救いを信じ
失っていくものは未来にしかない
今はまだ 失っていないことに
気づいて立ちたい
はしごの上に上っていくと
空に近づく
でもまだ雲にはならないから
眼を開く
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