鳥女/楢山孝介
 
忘れっぽい
それでも鳥女は思い出した
自分が空を飛べることを
かつて大空を飛び回っていたことを

鳥男を食べ終えると
鳥女は空へと飛び立った
山を後にしながら
漠然とだが
何かを失ってしまったことを思い出した
ああ、あああ、ああああ
それは哀しみの叫びだったのだが
近くを飛んでいた鳥男を欲情させた
少し前に同族を屠ったその鳥男は
今度は同族を作るために
鳥女のもとへと近付いていった
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